人々は生活を賭けた労働から解放され、衣食住の心配をすることがなくなった世の中。15歳のアレックス少年は、機械的に規則正しく過ぎてゆく毎日に退屈していた。完全に管理された未来社会で、あまりあるエネルギーをもてあそぶティーン・エイジャーの理由なき反抗を描く。『時計じかけのオレンジ』(とけいじかけのオレンジ, A CLOCKWORK ORANGE)は、1962年発表のイギリスの小説家アンソニー・バージェスによるディストピア小説、又はそれを原作にし1971年に公開(日本では1972年4月)されたアメリカ映画。スタンリー・キューブリックにより映画化された。
暴力やセックスなど、欲望の限りを尽くす荒廃した自由放任と、管理された全体主義社会とのジレンマを描いた、サタイア(風刺)的作品。近未来を舞台設定にしているが、あくまでも普遍的な社会をモチーフにしており、映像化作品ではキューブリックの大胆さと繊細さによって、人間の持つ非人間性を悪の舞踊劇ともいうべき作品に昇華させている。
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時計じかけのオレンジ (1971) / A Clockwork Orangeのあらすじ
ロンドンの都市。秩序は乱れ、治安状態は悪化し、性道徳は退廃の極にあった。そして町には夜な夜な少年ギャングの群れが横行していた。これは、そんな少年のひとり、〈強姦と超暴力とベートーベン〉だけに生きがいを求めるアレックスの物語である。15歳のアレックス(マルコム・マクドウェル)を首領とするディム(ウォーレン・クラーク)とジョージー(ジェームズ・マーカス)の一味は、その夜も街で暴れ廻っていた。まず手始めとして、酒ビン片手に橋の下で酔いつぶれている1人の老いた浮浪者を、ステッキやコン棒で殴ったり蹴ったりして袋だたきにした。暴虐の限りをつくして爽快になったアレックスたちは、別の獲物を求めて去ってゆく。荒れはてたカジノの舞台では、ライバルの非行少年グループの一団が、1人の女性の衣服をはぎとり暴行しようとしていた。そこへアレックス一味が殴り込みをかけ、大乱闘のあげく、敵の首領に傷を負わせた。さらにアレックス一味は、スポーツカーを駆って突っ走る。やがて郊外の邸宅にやってきた彼らは、覆面をつけて、ずかずかと押し入り、暴力活動を開始した。主人の作家アレクサンダー(パトリック・マギー)の眼の前で奥さんの衣服を切り裂き、凌辱に及んだ。こうして一晩は終わり、アレックスは大好きなベートーベンの第九交響曲を聴きながら幸福な眠りにつくのだった。そんなある日、ささいなことから部下のディムとジョージーが反抗した。彼らは、猫をいっぱい飼っている老婆の家に押し入った時、アレックスを裏切り警察に売ってしまった。刑務所でのアレックスは、聖書を読む模範囚であった。その頃、政府は凶悪な犯罪者の人格を人工的に改造する治療法を行なうことになっていた。アレックスはその第1号に選ばれたのだ。それは特殊な覚醒剤を注射した上で衝撃的なフィルムを見せ、そのショックから生理的に暴力やセックスが耐えられないような肉体に改造するといった方法だった。連日にわたる治療の結果を公開実験するショウの日がやってきた。アレックスが舞台に上ると、1人の男が彼に乱暴を働いた。殴り返そうとしたアレックスに吐き気がもよおした。セックスに対しても、その上、音楽を聴いただけでも同様に激しい吐き気が襲った。おとなしい、無害な人間に変わった彼は釈放された。家に帰ると、かつて彼が使っていた部屋にはジョーという得体の知れない男が入りこんでいたため、家を出るしかなかった。町をさまよっていると2人の警官に捕まった。その2人は、昔、アレックスを裏切ったディムとジョージーだった。アレックスに恨みを持つ2人は、アレックスを森の中に連れ込み、暴行した。その夜、瀕死のアレックスは、一軒の家にたどり着いた。それは、昔アレックス一味に乱暴されたアレクサンダーの家だったのだ。彼はあのいまわしい事件のため妻は自殺し、自分も半身不随となってしまった。アレクサンダーは一計を案じ、自分が属している反政府運動の道具に彼を使おうというのだ。翌朝、部屋に閉じ込められたアレックスは第九交響曲の響きで目をさました。彼は拒絶反応で狂い、窓から飛びおりる。アレクサンダーの狙いは、アレックスを自殺に追いやり、私的な報復を果たすと同時に、人格矯正法という非人間的な行為を行なった政府を攻撃して失脚させることだった。しかし、アレックスは一命を取りとめ、アレクサンダーは逮捕された。失脚を恐れた内務大臣(アンソニー・シャープ)は、アレックスを元どおりの人間に戻すと発表した。やがてアレックスは、セックスとベートーベンの第九交響曲に再び歓びを見い出した。(MovieWalker)
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